学園恋愛オムニバス


二人に追いつかないように遅めに歩いて学校に着くと、毎朝バスケ部の部室のロッカーに練習着を置きに行く流れが出来ていていつものように部室へと向かった。


部室に入った時だ。


「ねぇ、勇人(ゆうと)…デート出来てなくても私の事嫌いにならない?」

「なるわけないじゃん、一生大好きだよ」

「私も大好きっ」


部室のソファでうちのバスケ部のキャプテンの勇人と彼女でマネージャーの神田(かんだ)さんが今にもキスでもしそうなくらいの距離でイチャイチャしている…


神田さんって勇人と二人きりだとあんな甘々なんだ…。


っていうか、何で俺が入ってきた事気付かないんだ?


「お二人さんイチャイチャしてるところ悪いけどロッカー使うよ」

「わぁっ!諸星(もろほし)君!いたの!?気付かなかった!おはよっ!誕生日おめでとう!」


神田さんは慌てた様子で勇人から離れた。


「和樹、おはよー!誕生日おめでとうー」


勇人は気にしていない様子でそう言った。


「あぁ、ありがとう…」

「えっとっ…クラスの子に漫画返さなくちゃ!教室戻るね」


神田さんはそう言って部室を速やかに出て行った。


「…仲良いのは良い事だけど、ここ人の出入り多いからイチャつくならもっと人来ない所でイチャつきな」

「いやぁ、全然そんなつもりじゃなかったんだけど盛り上がっちゃった!和樹だってそういう事あるだろー?彼女出来たんだし」


俺の周りのカップル達は朝からラブラブだというのに誕生日なのに俺は寂しくないか…?


まだ彼女に送ったメッセージに既読付いてないし…



周りにカップルが増えて、特に勇人と神田さんはかなり仲良くて正直羨ましかった。



それで彼女欲しいと思っていたところで告白されて、自分の事好きだと言って貰えるのが嬉しくて付き合ったけど…



1回部活が休みの時に一緒に下校したっきりメッセージのやり取りもほとんどない状態だ。



勿論休日デートとか誘ったりしているけど忙しいみたいで全部断られている。


「そういうのはないけど…」

「マジで?そう言われてみれば和樹が彼女といるところ見た事ないな」


勇人と話しながら部室を出ようとドアを開けた時だ。


「わぁっ!バスケ部さんっ!お願い!匿って〜〜!」


突然すごい勢いで女生徒が部室に入ってきてドアを閉めた。

< 3 / 7 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop