君の言葉で話したい。
彼からの返事は無い。
日本語が通じていないのか、
はたまた仕事以外の雑談を、
嫌うタイプなのか。

どちらかはわからなかったが、
だんまりを決め込んだ彼は、
慣れない手つきで、
品出しを始めた。

鈴もなんだか居心地が悪くなって、
掃除を口実に、
その場から退散する。

なんだか、難しい人…。
今までのスタッフは、
皆朗らかで陽気な性分の人が、
多く、


彼のような寡黙なタイプの、
相手をした経験が無かったので、
鈴は正直戸惑っていた。
今日から自分が教育しないといけないのに、
気が重い。
溜息をつけば、つくほど、
憂鬱な気分になった。

雨泽の第一印象は、
鈴にとって、
いいものだったとは言い難い。

何とも微妙な出会いだったのである。


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