君の言葉で話したい。
「浮気は誓ってしてない。
あれは友達が紹介したい人がいるって、
言うから、偶然行ったら、
たまたま元同僚がいただけ。」
鈴は蒼太の目をまっすぐ見た。
「あの人が来るなんて、
聞いてなかった。」
鈴の気迫が伝わったのか、
攻撃的だった蒼太の視線が、
緩和される。

「良かった。じゃあ、
俺たちこれからも、ずっと一緒だな。」
ずっと。
何度もその言葉を反芻する。
喜ぶべき言葉が、
どっと重く感じた。

「ごめん、蒼太。」
別れて欲しい。
小さい声で呟く。
蒼太は持っていた本を、
取り落とした。
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