君の言葉で話したい。
「何で私にそんな執着するの。」

彼は眉をハの字型にして、
花束を差し出した。

「おれ、好きなんです。どうしても。」

諦められない。
貴方は自分の希望だと彼は言った。

月日が流れたからなのか、
少し日本語が上達している。
正直少し驚いた。

「日本語が上手くなったと思いましたか?」

考えていることが顔に出たのか、
雨泽は可笑しそうに笑った。
「正しい言葉で、相原さんに、
好きだと言いたくて、
いっぱい勉強したのですよ。」

そう言うと、徐に、
鞄の中から、
日本語のテキストを取り出し、
鈴に渡す。

本を受け取り無作為に開いてみると、
たくさんの中国語のメモから、
努力の跡が、
いくつも垣間見えた。

ふと、自分の名前が書かれているのが、
目に留まる。

「何で私の名前書かれてるの。」
「あっ、それは…!!」

見なくて良いのです!
彼は声をあげて、テキストを抱きかかえた。
「我爱相原鈴って書かれてたけど。」
「これは…。」
好きで好きでたまらなくなって、
書いた。

彼は顔を赤くした。
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