君の言葉で話したい。
あれほど、
しつこいと感じていた彼が、
不思議と愛らしく見えた。
憂鬱な気持ちがしぼんでいく。

「そんなに好き?」
雨泽はこれでもかと言うほど、頷いた。
少し意地悪な質問をしすぎたかと、
反省する。

贈り物の花束を見ると、
今回は黄色で統一されているらしく、
向日葵の鮮やかな色が、
目に入った。

「時間あるなら、少し話そうよ。」
石段を指差し、2人並んで座る。

しばらく穏やかな時間が流れた。
紫涵のこと、蒼太のこと、
そういうしがらみを、
全て忘れてしまいたい。
そんな心地だった。
< 36 / 54 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop