君の言葉で話したい。
鈴が泣き止むまで待った後、
雨泽は小さな小枝を、
差し出した。

「さき、言ってくれた言葉、
書いてもらえませんか。」

すっかり気落ちした鈴は、
そんな気分にならなかったが、
雨泽が譲らないので、
ゆっくりと枝の先端で地面をなぞる。

書き終えると雨泽の表情が、
明るくなった。

「我也鐘意你」
そう言うやいなや、
鈴を力強く抱きしめてくる。
驚いた鈴が抵抗するが、
決して離そうとはしない。

ずっとずっと待っていました。
好きです、相原さん。
貴方だけが欲しかった。

情熱的な抱擁。
しばらくすると、鈴は諦めたように、
抵抗を止め、
雨泽に身体を委ねたのだった。



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