俺がお前を夢の舞台へ
「蒼空ー、そろそろ出掛けるよー」


「おう」


私が声をかけると、蒼空はすぐにボールを片づけて汗を拭った。


このちょっとした時間ですらもボールに触れようとするほどの野球バカ。


いつでも野球のことばかり考えている蒼空は嫌いじゃない。


むしろ、それくらい1つのことに熱中している姿が素敵だと思う。


「お父さんね、ジャージが欲しいって言ってたよ」


今日は蒼空と一緒にお父さんの誕生日プレゼントを買いに行く。


近くのショッピングモールに入り、スポーツ用品店に直行する。


「監督っていつもどんなジャージ来てたっけ」


「もー、卒業したんだから監督呼びはやめなよ」


「6年も監督って呼んでたら染み付く」


昔は“さーやパパ”って呼んでてすんごく可愛かったのに。


「あ、これでいーんじゃね?」


蒼空がテキトーにジャージを見せてくる。
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