俺がお前を夢の舞台へ
地を這うような低い声。


何かと葛藤するような苦しげな表情。


「勇翔……?」


勇翔は…何を抱えているの…?


「私でよければ─」


「うぜぇんだよ!!俺に構うなっつってんだよ!!」


…っ!!


あの男には怒鳴らなかったのに、私には怒鳴る。


そして、苦しみや嫌悪感の籠った瞳を見せられる。


「ごめ……」


見たことのない勇翔だった。


「帰ってくれ。お前を見てるとイライラする」


「…っ」


勇翔の口から出る言葉1つずつが鋭い刃となって、次々と私の胸を突き刺す。


「帰れっつってんだよ!」


唇を噛んで、溢れそうな涙を塞き止める。


泣き顔なんて見せたら、またウザいと思われる。


もう、そんなのごめんだ…っ。


「ごめんなさい…っ」


絞り出した声は、情けないくらいに震えていた。


涙を溢す前にコンビニを出て、走って家に向かう。
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