俺がお前を夢の舞台へ
そしてまたイライラする。


すべてが悪循環だ。


勇翔が来てからは何もかもが上手く回らない。


彩絢の気持ちも離れかかっているような気がする。


「よしっ、プロ野球でも見るか。こっち来い」


監督が俺の背中を叩き、家の中に引き上げる。


「…大丈夫っす。もう帰るんで」


監督なりに気を紛らわそうとしてくれてるんだろうけど、彩絢ん家に長々いるのも気が引けた。


いや…いたくなかった。


彩絢を見ると嫌でもアイツの飄々とした姿がチラつく。


「彩絢に会って帰らなくていいのか?」


「今日は部活で会ってるんで」


これ以上会ってストレスを溜めるなんてごめんだ。


監督と彩絢の母親…美咲(みさき)さんに挨拶をして帰ろうとしたときだった。
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