俺がお前を夢の舞台へ
チャイムが鳴り終わらないうちに教室に飛び込むと、まだ先生は来ていなかった。


その代わり、蒼空がじっと私を見ている。


「お…おはよう、蒼空」


変に緊張しながら椅子に座り、ぎこちない挨拶をする。


蒼空は探るような目で私を見て、視線を横に…勇翔にずらした。


「お前だろ」


蒼空が刺々しく言い放った。


「何が?」


勇翔はスマホから目を離すことなく淡々と返事をする。


「彩絢を泣かせたのはお前だろって聞いてんだよ」


「さぁな」


一触即発の空気が流れる中、小泉先生が教壇に立った。


そのおかげで喧嘩は免れたけど、私たち3人の空気は地獄だった。


そこへ、さらに不運が重なることになる。


1限の数学が自習になってしまったのだ。


勇翔や蒼空が真面目に自習をするとは思えない。


間違いなく喧嘩になる。


そう思うと、憂鬱が消えることはなかった。
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