俺がお前を夢の舞台へ
優しい優しい表情で諭してくれる茉優は、まるでお母さんみたいだ。


「蒼空くんも結城くんも、この数年間でいろんなことがあった。だから、今がある。過去と今なんて比べるものじゃないよ。”今の蒼空くん”、“今の結城くん”を見なきゃ」


ストンと心に落ちていく茉優の言葉。


「いろんなことがあって、ちょっとずつ変わっていく。それは当たり前のことなんだからね」


茉優がニコリと微笑む。


たしかに茉優の言う通りだ。


私は、昔の二人ばかりを思い出しては“あの頃のように戻りたい”と思い続けてきた。


でも、そうじゃなくてもいいんだ。


今の蒼空、今の勇翔と、もう一度向き合えばいい。


「ありがとう、茉優」


ちゃんと蒼空や勇翔と向き合おう。


蒼空が何を隠しているのか。


勇翔がなんで野球を辞めたのか。


そうやって、少しずつズレた歯車を直していけばいいんだ。
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