俺がお前を夢の舞台へ
ううん。


単に、勇翔のことが気になるから。


勇翔に何があったのか、私にできることはないか、知りたいから。


勇翔との数々の想い出はそう簡単に忘れられない。


あの日々のように楽しい日が戻ってくると信じている。


「…勇翔は私にとって大切な存在なんだ。ごめんね」


もちろん、恋愛の意味で好きなのは蒼空だ。


でも、勇翔だって大好きな幼なじみに変わりはない。


たとえ勇翔がそうは思っていなくても、私はそう思っている。


「……そっか」


蒼空はそれ以上何も言わなかった。


それが蒼空の優しさなんだろう。


蒼空は私が勇翔と仲良くすることをよく思っていない。


それでも無理に束縛したりはしない。


「ありがとう…蒼空」


私は、蒼空のことを何もわかっていなかった。


分かろうともしなかったんだ。


あんなことになるまで─。
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