俺がお前を夢の舞台へ
監督の娘の特権だ。


よく練習にも試合にも連れていってもらっていた。


勇翔と仲良くなれたのはお父さんのおかげだ。


「そういえば監督の娘だったな」


「そうだよ。そんなのも忘れちゃったの?」


勇翔のなかで私の存在はどうでもいい存在だったのかな…。


なんてことまで想像してしまう。


「…忘れたわけじゃないけど。なんとなくそんな気がしないって話」


「ふーん…。それって喜んでいいの?」


「まぁいいんじゃね?」


「相変わらずテキトーだなぁもう」


ちょっとだけ怒ったふりをしてみたけど、本当は嬉しかった。


勇翔が過去の話に付き合ってくれて。


この写真を見せるのは賭けに近かった。


怒られるかもしれないし、口を利いてもらえなくなるかもしれない。


それでも、何かのきっかけになれば、と思って持ってきた。
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