俺がお前を夢の舞台へ
「その試合、俺のエラーを帳消しにしたのが蒼空だった」


……え…?


驚いて勇翔を見ると、勇翔はジッと写真を覗き込んでいた。


「…アイツのおかげで勝てた試合ってけっこうあるんだよ。すごい奴だよな」


勇翔……。


教室の喧騒の中、まるで私たちだけが切り取られたようだった。


周りの声なんて何も聞こえない。


勇翔の低くて落ち着いた声以外、何も。


「最近のアイツ、どう?」


…勇翔……。


やっぱり勇翔は勇翔だ…。


「昔と変わらないよ。相変わらず切れ味抜群だし、コントロール良いし、打撃もできるし、ストイックで…。でも…っ」


自分だけじゃ勝てない。


蒼空はそう言っていた。


勇翔の力が必要だと。


でも…そんなこと、今は言えない。
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