俺がお前を夢の舞台へ
勇翔の秘密
「ばいばーい!」
「また明日!」
静かだった教室が騒がしくなる。
急いで部活に行く人、掃除当番をサボろうとする人、グループで談笑する人。
いろんな人がいる中、私だけが別世界にいる気さえしていた。
「あ、そうだ彩絢。今日久々に彩絢のトスで打ちたい」
鞄を担いだ蒼空が笑顔を見せてくる。
「あっ…うん…。あっでも…」
明らかに挙動不審な自覚はあるけど、どうしていいか分からなかった。
隣では勇翔が帰る準備を進めている。
やっぱり…勇翔と話したい。
「今日…私…休むことにした。ごめん」
ごめん、蒼空。
部活よりも勇翔が気になるんだ。
きっと、今勇翔と話さなかったら後悔する。
「なんで?体調悪い?」