俺がお前を夢の舞台へ

勇翔の秘密



「ばいばーい!」

「また明日!」


静かだった教室が騒がしくなる。


急いで部活に行く人、掃除当番をサボろうとする人、グループで談笑する人。


いろんな人がいる中、私だけが別世界にいる気さえしていた。


「あ、そうだ彩絢。今日久々に彩絢のトスで打ちたい」


鞄を担いだ蒼空が笑顔を見せてくる。


「あっ…うん…。あっでも…」


明らかに挙動不審な自覚はあるけど、どうしていいか分からなかった。


隣では勇翔が帰る準備を進めている。


やっぱり…勇翔と話したい。


「今日…私…休むことにした。ごめん」


ごめん、蒼空。


部活よりも勇翔が気になるんだ。


きっと、今勇翔と話さなかったら後悔する。


「なんで?体調悪い?」
< 139 / 434 >

この作品をシェア

pagetop