俺がお前を夢の舞台へ
心配して顔を覗き込んでくれる蒼空を目の前にすると、罪悪感に押し潰されそうになる。


「……ごめん…」


仮病を使ってサボるようなマネージャーでごめん。


甲子園に行きたい、と全力で努力している人の目の前でサボろうとしてごめん。


「いや…謝らなくてもいいんだけどさ。大柳先生には俺から言っとくから、今日はゆっくり休めよ?」


違う。


体調不良なんかじゃない。


仮病なのにそんなに優しくしないで。


自分が情けなくなってくる。


蒼空に嘘ついて騙そうとしている自分が醜く思えてくる。


「んじゃあな。また明日」


「あ…うん…」


蒼空が廊下に消えた。


残された私と勇翔の目がパッと合う。


「ま、1日くらいサボったって誰も文句言わねぇよ」


勇翔はそう言って左手で鞄を持った。
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