俺がお前を夢の舞台へ
「小5の夏に蒼空が手首捻挫したの覚えてる?」


「あぁ」


コーヒーを啜りながら頷く勇翔。


勇翔の記憶の中にはきちんと蒼空がいる。


「その時さ…大事な大事な大会が控えてて、しかも勇翔も調子落としてたじゃん?」


原因不明のスランプで勇翔がストライクゾーンに投げられない時期と、蒼空の怪我が重なった。


エース格の二人が投げられないのはチームとして大きな痛手だった。


「勇翔は勇翔で、投げれない自分にイライラして自暴自棄になるしさ。お父さんがすんごい参ってたんだよね」


「ふーん…。全然覚えてない」


自分のことは覚えてなくても、蒼空のことは覚えている。


やっぱり蒼空と勇翔は特別な関係なんだろうな…。


「あの時、結局勇翔が大会通して投げたじゃん?で、蒼空はそれに対してずっと文句言ってた」
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