俺がお前を夢の舞台へ
「…そんな良い話じゃねぇよ。野球に関わらないと決めた反動で髪伸ばして染めて。なんで俺がこんな生活をしないといけないんだってムシャクシャしては非行に走ってた」


コンビニでヤンキーに絡まれた時のことを思い出す。


あの時勇翔はヤンキーに恐れられていた。


あれにはそんな背景があっただなんて…。


「どう?これでスッキリしたか?」


勇翔はフッと蔑むような目で笑った。


まるで社会を恨んでいるように…。


「……私に何かできること…ないかな…」


「ない。同情なんか必要ない。困ったときに頼れる知り合いもいるし、お前が首突っ込む話じゃねぇよ」


即答だった。


たしかに…勇翔の性格的にも私みたいな人からの支援はプライドを傷つけるんだろう。


何事もなかったかのように振る舞うのがいいのかもしれない。
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