俺がお前を夢の舞台へ
「彩絢もそういうの気にする歳になったんだな」


「……バカにしてるでしょ」


そりゃ大人っぽい勇翔からすれば私は子供なのかもしれないけど。


……いつの間にか逆になっちゃったんだなぁ。


小学生の頃は、勇翔が1番子供っぽかった。


それがこんなに大人びて…。


環境って本当に大事なんだね…。


「環境…。そうだ。私の戯言聞いてくれる?」


勇翔がしきりに繰り返していた“環境”という言葉。


「さっき、星矢選手を例に出したでしょ?恵まれた環境だから結果が出せたって。

たしかにそうなのかもしれない。でも、星矢選手は公立高校出身だよ。私立とは練習環境が全然違う。

それに、春のセンバツの出場が決まってたのに不祥事で辞退することになったんだって。

きっと…星矢選手には星矢選手の悩みや苦しみがあったんだと思う。だけどそれを乗り越えてプロになって、結果も出してる。

そりゃ、勇翔と星矢選手が同じだとは思わないし、勇翔のほうがよっぽど苦しいんだと思う。でも、野球への道が完全に途切れたわけではないと思うよ。私はね」


勇翔の神経を逆撫でする発言だったかもしれない。


でも、諦めてほしくないんだ。
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