俺がお前を夢の舞台へ
意外だった。


彩絢が蒼空側に立たずに俺を庇った。


「なんでコイツを庇うわけ?昨日、勇翔勇翔って言いながら泣いてたろ」


……。


…俺は何をやってるんだろう。


彩絢を傷つける最低な自分にも、彩絢を責める蒼空にも、イライラしてしょうがない。


何も悪くないのに何度も何度も謝る彩絢と、ムスッとしたままの蒼空。


怒るなら俺に怒ればいいのに、なんで彩絢を責めるんだ。


そんなんだから俺はコイツを認められない。


「もういいだろ。俺が悪かった。彩絢は本当に何も悪くないから」


「そうやってお互いに庇い合って、何がしたいんだよ」


…コイツはなんもわかってねぇ。


「お前こそ、無駄なことで彩絢を困らせんな。俺のことで泣こうが泣かまいが彩絢の自由。それを責めるのはおかしな話だろ」


コイツの視野の狭さは今に始まったことじゃない。


コイツのせいで彩絢は…。
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