俺がお前を夢の舞台へ
幸い1限は自習だし、それぐらいいいだろう。


蒼空は渋々といった様子で立ち上がる。


「勇翔…蒼空…、何の話をしたのか、あとで教えてくれるよね…?」


不安げな彩絢の表情。


「無理。教えられない」


「……そっか」


悲しい顔をする彩絢を見ていられなかった。


コイツのせいで彩絢は悲しい思いをしている。


それなのになんで…。


「何で病気だって言わねぇんだよ。運動を続ければ命が危ないって、何で言わねぇんだよ。今の顔見て、何で黙っとけるんだよ」


教室から離れた渡り廊下。


殴りたくなるほどムカつく男と対峙する。


コイツは命に危険がある病気を患っている。


医者から運動を止められているにも関わらず、野球を辞めようとしない。


もしコイツが死んだら、彩絢はどうなる。


「彩絢を悲しませんなよ。お前、アイツの彼氏だろ?彼氏なら彼氏らしくアイツのこと守ってやれよ!」


「お前に俺の気持ちは分かんねぇよ」
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