俺がお前を夢の舞台へ

転校生

「えっ!?付き合うことになった!?」


「シッ!!声が大き─…」


翌日、親友の藤井茉優(ふじいまゆ)の大声のせいでクラス中から拍手が沸き起こってしまった。


「んーもう…」


別に隠したいわけじゃないけど、“いい加減付き合えばいいのに”と言われ続けてきたから、なんとなくむず痒い。


蒼空も同じ気持ちなのか、茉優を睨んでため息をついた。


「蒼空くん、まんざらでもなさそうだけど?」


「……うるせ」


蒼空への恋心はいつから持っていたんだろう。


よくわからないけど、気がつけば蒼空のことが好きだった。


野球漬けの生活を送っている努力家なところ。


ポジティブだけどしっかりと現実を見据えて行動できるところ。


状況分析が得意でいつも冷静なところ。


凄まじい負けず嫌いで、勝つためならどんな練習でもこなせるところ。


自分には厳しいけど、他人には優しくて思いやりのあるところ。


そして、笑顔。


太陽の真下で、太陽よりも眩しいあの笑顔。


勝ったときのあの笑顔。


すべてが好き。
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