俺がお前を夢の舞台へ
吹き付ける風が俺の頭を冷やしてくれる。


「今のどういう意味だよ」


蒼空の顔色が変わった。


「……忘れてくれって言ってんだろ」


「無理に決まってんだろ。心の声聞いて無視できるわけないだろ」


さっきまでろくに目を合わせてこなかった蒼空がやけに目を合わせてくる。


「…夢を捨てた人間をあからさまに軽蔑するようなヤツに言いたくない。それと、彩絢のことを大切にせず、隠し通すつもりなら別れろ。話はそんだけだ」


言いたかったことを捲し立て、その場を立ち去ろうとする。


だけど、蒼空は俺を逃がさなかった。


「待てよ。お前は俺が隠したがってることを知ってる上に、隠すことに反対してくる。そのくせお前は俺に何も言わねぇつもりかよ」
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