俺がお前を夢の舞台へ
けどコイツは、俺が“命を大切にしろ”“野球を辞めろ”と説得したとき、コイツはぶちギレた。


命よりも甲子園が大切だ、と。


バカだと思った。


命よりも大切なものがあるもんか。


蒼空が死ねば悲しむ人間は大勢いる。


彩絢はきっと悲しみに押し潰される。


それでも野球を優先すると言い出した。


あり得ない。


俺は身近な人が亡くなる悲しみ、衝撃、虚無感、すべてを知っている。


彩絢にはあんな苦しい感情を経験してほしくない。


それなのにコイツは野球を辞めない。


コイツとは絶対に分かり合えない。


「俺は何も捨てちゃいねぇよ。命も夢も、諦めてない。甲子園に行ってから治療に専念する」


「それじゃ遅ぇんだよ。この前のOB戦で分かったろ。お前の身体はもう限界なんだよ」
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