俺がお前を夢の舞台へ
「俺に構うな。お前と分かり合う気はないし、お前に歩み寄る気もない」


俺が話してコイツの行動が変わるのか?


野球を辞めて自分を大切にするのか?


自分を大切にすることが彩絢を大切にすることになるって分かってくれるのか?


無理だ。


コイツは野球を辞めない。


意地でも甲子園を目指そうとする。


「じゃあこうしよう」


「……なんだよ」


「俺と3打席勝負しろ。お前が1打席だけでも打てたらお前の勝ち。打てなかったら負けで、俺に過去を話す」


は?


なんだコイツ。


「どう考えてもお前に有利すぎんだろ」


そんな交換条件飲めるか。


俺は2度と野球をしないって決めたんだ。


1度やってしまうと、やりたい気持ちに歯止めが利かなくなりそうだから。


封じ込めてきた思いが溢れ出そうで怖いから。
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