俺がお前を夢の舞台へ
「じゃあお前が投げて俺が打つのは?」


「もっと不利だろ。考えろ」


「球種は二種類だけにする」


「何を言われてもそんな勝負はしねぇっつーの」


「一種類だけなら?」


「聞いてんのか」


「一種類で、アウトコースしか狙わない」


「そういう問題じゃねぇ」


「何なら勝負に乗ってくれんの?俺は本気なんだけど」


……。


なんだってんだ。


なんで俺がそんなことしないといけねぇんだよ。 


「放っとけって言ってんだろ」


「放っとけねぇから言ってんだよ」


蒼空の目は本気だ。


俺を敵視している雰囲気は消え、“幼なじみ”の目をしている。


簡単には逃してくれなそうな鋭く真剣な目。


「……なら、彩絢に事実を話せ。野球を辞めて、命を大切にしろ。助かる命を捨てるな。そうするなら3打席勝負をしてやってもいい」


蒼空がこの条件を飲むわけがない。


そう確信しての発言だった。
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