俺がお前を夢の舞台へ
勇翔には勇翔の考えや事情があって辞めたんだろう。


それに気をつけながら話を続けるつもりだった。


だけど。


「甲子園なんてくだらねぇ」


「…は?」


勇翔は、完全に野球や甲子園をバカにしているようだった。


「甲子園なんか目指してる暇があるなら、病気治せよ」


喪失感や疑問で心がいっぱいになったのなんて、ほんの少しだけ。


沸々と怒りがこみ上げる。


「人の夢バカにしてんじゃねぇよ」


「じゃあ聞くけど、甲子園に行った先に何があるんだよ」


「あ?」


飄々とした態度、世を斜に構えて見ている態度、何もかもが気に食わねぇ。


「甲子園に行って何になる。プロ野球選手にでもなる気か?病気の体を酷使して?バカじゃねーの」


コイツ……。


自分が野球を捨てたからって好き勝手言いやがって。
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