俺がお前を夢の舞台へ
“だったら彩絢と別れてくれ”


寒い渡り廊下で話し合ったときのことが蘇る。


アイツに病気を知られたのが大きな誤算だった。


部員にも顧問にも彩絢にも隠し通すつもりだった。


顧問に話せば試合に出させてもらえなくなる。


俺の夢、彩絢との約束、すべてが消えてしまう。


それに、監督に誓ったんだ。


“絶対、橘を甲子園に連れていきます”


散々お世話になり、今でもお世話になってる監督。


監督は、教え子が甲子園で活躍する姿を見るのが夢だと話していた。


その夢を俺が叶えたい。


……いや。


それ以上に、甲子園は俺自身の夢だ。


どうしても叶えたい、どうしても諦めきれない。


何がなんでも夢は叶える。
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