俺がお前を夢の舞台へ
たとえ多少苦しくたって、野球を続けたい。


俺には野球しかないから。


甲子園という夢は、俺を突き動かしてきた絶対的な存在で、それがなくなることなんて考えられない。


野球がなくなった俺に、いったい何が残るというんだろう。


死に物狂いで目指せる夢があることは幸せなことなんだろう、と勇翔を見ていると感じる。


命がけで追う夢なんかない。


そう言われてしまえばそうなんだろうとも分かってる。


けど…。


俺は辞められない。


野球を取り上げられた自分を想像するのが怖くて、考えただけで動悸がする。


“野球バカ”


何度も彩絢に言われた言葉だ。


だけどきっと俺はそんな可愛いもんじゃない。


“野球依存”


その言葉の方が似合ってる。


“病気のことを隠して野球を続けるんなら、彩絢とは別れろ。彩絢に近づくな”


「あぁ…うぜぇ……」
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