俺がお前を夢の舞台へ
スクリーンに映し出される歓喜の涙。


対戦校の悔し涙。


マウンドで立ち尽くすピッチャー。


そして、ガッツポーズを掲げ笑顔でダイヤモンドを1周し、ベンチから飛び出してきた仲間に揉みくちゃにされるサヨナラの打者。


その打者がエースだったことも俺の心を強く惹き付けた。


俺もあぁなりたい。


心から憧れを持った。


何万人もの人がたった一人のエースに釘付けだった。


多くの野球少年に夢や感動を与えたその選手のようになりたい、と強く思った。


『蒼空もここで投げてね』


彩絢が無邪気にそう言ってきたのをよく覚えている。


蒼空の活躍が見たい、蒼空が甲子園を盛り上げるところが見たい。


そう言ってくれた。


『任せろ。絶対ここで投げるから』


『約束だよ』


『おう』


きっと彩絢は覚えてないだろう約束。


勇翔は知らない、俺と彩絢だけの約束。


どうしてもその約束を果たしたい。


彩絢の笑顔が見たいんだ。


甲子園という特別な場所で。
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