俺がお前を夢の舞台へ
「あぁ…いや…別になんでもない」


歯切れの悪い返事に、一切合わない目。


じんわりと嫌な空気が胸に染み込んでいく。


「何か怒ってる…?」


「ううん」


気まずい沈黙が流れる。


蒼空が私を見てくれない。


物理的にだけでなく、心理的にもそうな気がした。


蒼空の心が私から離れていく気がしてならない。


「蒼空…悩んでることがあったら─」


「ホントに大丈夫だから」


……そっか…。


遮るように拒絶され、悲しみが胸に残る。


サヨナラするT字路が迫ってきている。


「…彩絢さ……」


蒼空が私の名を地面に落とす。


「…なに…?」


ドクンドクンドクン…と心臓がうねる。
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