俺がお前を夢の舞台へ
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「あのさ…蒼空…」
練習終わりの帰路。
徒歩10分の距離をゆっくり歩く。
いつもは会話が弾むけど、今日は空気が重い。
「…勇翔のことだろ?」
「…うん」
5年越しに蒼空の口から出た“勇翔”。
勇翔と蒼空の関係性は、私にはよくわからない。
だから…。
「…どう思ってるの?勇翔のこと」
知りたい。
良くも悪くもニコイチだったエースの片割れに対して、今蒼空は何を思っているのか。
「…別に、どうも思ってねーよ。大昔に引っ越してったヤツのことなんかどうでもいい」
あっという間にT字路へ着いてしまった。
ここ私は左へ、蒼空は右へ曲がらなければならない。
「それ、本心なの?」
T字路の真ん中。
二人の視線が交差する。