俺がお前を夢の舞台へ
懐かしい勇翔の香りがいっぱいに広がる。


「勇翔……」


ダメだ。


こんな風に抱きしめられてちゃいけない。


私には蒼空がいる。


分かってるのに…。


分かってるのに離れられなかった。


拒絶できなかったんだ。


勇翔の胸が涙で濡れていく。


「一緒に探せば絶対に見つかるから。な?だから泣くな」


勇翔の優しい言葉が胸に染みる。


「ごめんなさい……」


もう、何に対する謝罪なのかわからなかった。


勇翔への謝罪なのか、それとも蒼空へなのか。


鍵をかけずに出たことも、勇翔に抱きしめられてることも、何もかも、私は最低だ…っ。


「もう謝らなくていい。俺が探して回るから、彩絢はここにいろ。友翔が帰ってきたら連絡頼む」


勇翔が私から離れていく。
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