俺がお前を夢の舞台へ
「彩絢さん、小泉先生に呼ばれてますよ」


菜々子ちゃんが不思議そうな顔で渡しを見つめる。


「あ、うん。ありがと」


集中しなきゃ。


今は蒼空のことも勇翔のことも考えてる場合じゃない…。


打撃投手をやっている小泉先生のところへ駆け足で向かう。


と、その時だった。


「危ない!!」

「藤野!!」


え…?


ボーッとした頭では、皆の大声の理由が考えられなくて、ハッと打球に気がついた時には肩に強い衝撃が走っていた。


「痛っ!!」


立っていられなくてその場にうずくまる。


「彩絢!大丈夫か!?」


ジンジン痛む右肩に、蒼空の大きな手が重なる。


「ったく。新人じゃないんだからバッティング練習中によそ見するなよー」


小泉先生の言う通りだ。


今日は…というより、ここ最近集中力を欠きすぎだ…。
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