俺がお前を夢の舞台へ
「蒼空…?なんか怒ってる…?」


「まさか。どこに怒る理由があんの?」


ザワザワと心に荒波が立っている。


蒼空にすべてを見透かされている気がした。


勇翔の家に出入りしてることも、勇翔に抱きしめられたことも、勇翔の胸で号泣したことも…。


「…とりあえず、氷で冷やすか」


蒼空が冷凍庫から氷を取りだし、ビニール袋に入れる。


淡々とした動作と、何を考えてるかわからない表情が怖かった。


この前勇翔に抱きしめられた負い目があって、蒼空と上手くコミュニケーションがとれない。


「……」

「……」


重い沈黙が流れる。


私が勝手に重いと思ってるだけかもしれないけど、押し潰されそうだった。


「…なぁ」


沈黙を破ったのは蒼空。


氷を私の肩に乗せてから、少し遠いソファに腰を下ろす。
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