俺がお前を夢の舞台へ
決意
“必要以上に俺に話しかけるな”
“今の彩絢は好きになれない”
蒼空からの最後の言葉が胸に深く刺さっている。
シーーン…とした藤野家。
いつも庭から聞こえていたシュッという投球音、素振りの音は聞こえない。
“幼なじみ”ですらなくなった瞬間だった。
本当に終わってしまったんだ。
私が終わらせてしまったんだ。
「彩絢ー?今日もご飯食べないの?」
あれから3日。
喪失感が体全身を支配していて、食事が喉を通らない。
部活や教室で顔を合わせる度に、にこりともされなくなったことを感じて苦しくなる。
私でも菜々子ちゃんでもできる仕事は、迷わず菜々子ちゃんに声をかけにいく蒼空。
クラスの女の子と気兼ねなく話している蒼空。
どれもこれも見たくなくて、目も耳も塞ぎたくなる。