俺がお前を夢の舞台へ

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「ふぅ…」


教室の扉の前で深呼吸をしてから入るのが日課になりつつある。


“藤野さんの浮気が原因で別れたんだってさー”

“うわー、何それひっど”

“人って見かけによらないんだね”


どこから噂が回ったのか、別れた次の日からそんな風に言われていた。


そんな経験初めてで、どうしたらいいか分からないから怖い。


誰かが話している声を聞くと、私の噂話をしてるんじゃないかって思ってしまう。


「んなとこ突っ立って何やってんの?」


「っ!ビックリしたぁ…」


背後から声をかけられ驚きながら振り向くと、勇翔だった。


「何か嫌なことあった?」


「え…?」


じっと目を見られ、耐えきれずに逸らす。
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