俺がお前を夢の舞台へ
「……っ…」


自分で蒔いた種とはいえ、きついや…。


「彩絢…。ちょっと来て」


茉優が入ってきたばかりの扉から私を連れ出す。


そのまま渡り廊下まで来て、茉優は私に向き直った。


温かくなりつつある風が吹き抜け、ボロボロになった心を癒してくれる。


「…いい加減、相談してよ。私たちは、何でも言い合える関係だって思ってる。一人で抱え込まないで…?」


真っ直ぐな瞳。


本気で心配してくれているのだと一目で分かる。


…ちゃんと話さなきゃな、とは思っていた。


毎日気にかけてくれる茉優への誠意として。


「…私ね…」


まとまりのない話だったけど、茉優は口を挟まずにじっと耳を傾けてくれた。
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