俺がお前を夢の舞台へ
次の日から、蒼空の様子をできる限り観察していたけど、結局何も分からなかった。
わからないまま、数日が過ぎてしまった。
蒼空とした最後の会話がいつだったかも思い出せない。
当然、蒼空がうちに来ることも一切ない。
「はぁぁ…」
“ハッキリ言って話にならない”
尚輝くんの冷静な言葉が忘れられない。
ただでさえ橘は蒼空に頼りっきりで、蒼空の力無しでは甲子園を目指すことができない。
それなのにその蒼空が話にならないレベルじゃ、もうダメなのかな…。
蒼空が焦ってる理由ってそれ…?
他の部員を甲子園レベルに底上げしようとして焦ってる…?
…考えすぎ…だよね。
蒼空のことだ。
きっと、夢のためなら何だってする。
極論、野球を続ければ死ぬと言われても野球を選ぶだろう。
蒼空からはそんな気迫を感じていた。