俺がお前を夢の舞台へ
「……幼なじみが転校してきたんだよね」
ついポロっとこぼしてしまった。
別に隠すほどのことじゃないからいいんだけど、頼れる誰かに状況を分かってもらいたかった。
蒼空の心境を推測しながら事の成り行きを話すと、菜々子ちゃんはウンウンと頷きながら聞いてくれた。
これじゃどっちが先輩かわからない。
「蒼空さんと結城さんの仲は、良くもなく悪くもなくって感じだったってことですか?」
「うーん…まぁ…」
あの微妙な関係性は何とも説明しがたい。
野球に関しては、とても良い関係性だった。
でも、性格そのものは合わないし、喧嘩も絶えなかった。
良くも悪くも、野球だけで繋がれている関係だったのかもしれない。
「蒼空さんは、大事な約束を破って引っ越していった結城さんが許せないのかな…」