俺がお前を夢の舞台へ
センターフライ。


これじゃタローは動けない。


悔しそうに帰ってくる尚輝くんを温かく迎える皆。


「気にすんな、まだ1アウトだ」


蒼空が尚輝くんの隣に移動して言葉をかけている。


今日の蒼空は、いつも通りの蒼空だ。


ベンチでチームメートとコミュニケーションをとりまくり、チームの雰囲気を良くする。


しっかり声を出し、プレーでもベンチでも皆を鼓舞する。


それが蒼空だった。


蒼空がいれば甲子園も夢じゃないと言われる理由は、技術だけじゃなくてそういった面にもあるんだと思う。


それだけ、蒼空は橘の柱として大きな役割が期待されてる。


蒼空の好調なくして甲子園出場はない。




結局、その回得点が入ることはなく、5回まで両校無得点。


蒼空の違和感に気づいたのもその頃だった。
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