俺がお前を夢の舞台へ
7番からの下位打線相手にフォアボールでランナーを出し続けて満塁に。
最悪のピンチで1番打者を迎えることになる。
マウンドに立つ蒼空は、激しく息切れをしていて、とても普通ではなかった。
何度も汗を拭い、胸に手を当てている。
「蒼空…?」
苦しそうに顔を歪め、帽子を被り直す。
「大柳先生っ」
明らかに無理をしている。
早く交代しなきゃ。
蒼空を休ませなきゃ。
大柳先生が動くのと、蒼空が自らマウンドを下りるのは同時だった。
尚輝くんが蒼空に駆け寄り、体を支える。
ベンチに戻ってきた蒼空の額には大粒の脂汗が滲んでいた。
「蒼空…っ」
ずっと体調が悪かったの…?
それとも急に…?
「大丈夫だから…っ。お前は試合に集中してろ…。今日は大事な練習試合…なんだから…」
私を遠ざける。
私との間に壁を作って、踏み込ませてくれない。