俺がお前を夢の舞台へ
「彩絢っ!!」


部活がないからとのんびり帰り支度をしていたら、部活に行ったはずの茉優が慌ただしく教室に飛び込んできた。


「ちょっと来て!」


「えっ!?」


茉優が私の手を掴み、廊下を突っ走る。


「ちょっと茉優!?」


「いいから!」


茉優の目的地はグラウンドだった。


「え……?」


自分が見ているものが信じられなかった。


だって…あの勇翔が打席に立っているから。


マウンドには蒼空が立っているから。


「どういうこと…?」


なんで勇翔が打席に…?


あんなに野球を避けていた勇翔がバットを握っている。


いったい何が……。


勇翔が腰を落とし、まっすぐ前を見つめている。


そこへ、蒼空が渾身のストレートを投げ込んだ─…。
< 256 / 434 >

この作品をシェア

pagetop