俺がお前を夢の舞台へ

限界-蒼空side-

【蒼空side】

「くっそ…」


思うように体が動かない。


もう、限界が近づいてきている。


桜森との練習試合。


甲子園を目指す上でこれがとても大事な試合だってことは分かってる。


絶対に勝ちたいのに、体が動いてくれない。


フォアボールで満塁にしてしまった。


「はぁ…っ、はぁっはぁっ」


呼吸が苦しい。


まずいなこれ…っ。


苦しすぎてボールを握ることもできない。


もう、野球はできない。


これ以上続けるのは不可能だ。


俺が投げたって、無駄な失点を招いて可能性を潰すだけ。


俺は、自らの意志でマウンドを降りた。


もう上ることはないだろうという予感を胸に抱きながら─。
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