俺がお前を夢の舞台へ
ベンチに下がった俺へ、彩絢の不安げな視線が注がれるのがわかった。
俺は彩絢を避け続けているのに、彩絢はずっと俺を心配してくれてる。
それは、普段のマネジメントを見ていたら感じる。
彩絢と別れたのは、勇翔の方が幸せにできると思ったから。
彩絢を避けてるのは、彩絢と関わると自分のものにしたくなるから。
やっぱり離したくないと思ってしまうから。
そんな一方的な理由で、一方的な主張をして、強引に別れた。
それなのに彩絢は…。
「蒼空…っ」
泣きそうな顔を俺に向けてくる。
俺じゃ彩絢を幸せにできない。
ずっと前から勇翔が言っていた意味がよくわかる。
「大丈夫だから…」
とにかく彩絢には何も知られたくない。
病気だってことも、無茶して野球を続けようとしていたことも。
彩絢は何も知らなくていい。
「お前は試合に集中してろ…。今日は大事な練習試合…なんだから…」