俺がお前を夢の舞台へ
伏せられた写真はきっと野球をしているときの写真なんだろう。


初めて来る蒼空の家は、蒼空の心の叫びを閉じ込めた空間だった。


「…お前……」


言葉が出なかった。


何て声を掛ければいいのか分からない。


蒼空の苦悩を直視して、何も言えなかったんだ。


「好きなとこに座って」


蒼空の部屋は、綺麗すぎるぐらい綺麗だった。


一部だけ日焼けしていない綺麗な壁。


不自然に空いた空間。


この景色を、俺は見たことがある。


野球を続けられない悔しさで、目につく野球関連のものは全て捨てた。


壁に張っていたプロ野球選手のポスターや、球場で買ったグッズを飾った棚。


すべてを処分した。


その時の自分の部屋とそっくりだ。
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