俺がお前を夢の舞台へ
「…俺…」


蒼空は、ベッドに寝転がって天を仰いだ。
 

そして、目を閉じる。


蒼空は何も言わなかった。


「…野球、辞めんの?」


俺と蒼空は、相手の気持ちなんか無視した雑な人間関係を築いてきた。


逆にこんな今だからこそ、そうであるべきだと思った。


蒼空は何かを話したがっている。


遠慮して、話し出すのを待ってる場合じゃない。


「相変わらず人の心に土足でズカズカ踏み込んでくる奴だな」


「そうしてほしいんだろ」


「……ご名答」


蒼空は身体を起こして俺に向き直った。 


そして言った。


「野球を辞めるつもりはない」


意味が分からなかった。


「……じゃあ、この部屋やリビングは何なんだよ」
< 263 / 434 >

この作品をシェア

pagetop