俺がお前を夢の舞台へ
蒼空がいない橘の野球部は、覇気も夢も何もない。 


ただ単調に日々のメニューをこなして、意味のない時間が流れていく。


まるでモノクロの世界。


蒼空がいなきゃ橘はどうにもならない。


「…蒼空が必要なんだよ…っ。蒼空はいなきゃいけない存在なんだよ…っ。なんとなくで辞めたんなら今すぐ帰ってきてよ…!」


本当はそうじゃないことは分かってる。


何か理由があるのは分かってる。


でも、蒼空の帰りを待ちたくなってしまうんだ。


「勇翔がいるだろ。コイツの能力なら甲子園を目指せる」


「…でも……っ」


勇翔の目の前じゃ言いづらいけど、蒼空と勇翔じゃリーダーシップが違う。


蒼空は皆の前に立って引っ張っていけるタイプだけど、勇翔はそうじゃない。


勇翔と蒼空は、それぞれ別の適正があって、お互いに簡単に代わりが務まる存在じゃない。
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