俺がお前を夢の舞台へ
「アイツは、ブランクが長い俺を信じて俺に夢を託してくれた。だから俺もアイツを信じてる。蒼空は死んだりしない。絶対に」


力強い目で言い切る勇翔は頼もしかった。


蒼空と勇翔にしか分からない、二人の友情関係、信頼関係。


それが少しだけ羨ましい。


と同時に、嬉しかった。


昔よりも強固な絆で結ばれた勇翔と蒼空はきっと大丈夫。


「…1番不安なのは蒼空だから。俺たちは普通にしてりゃいーんだよ。それを蒼空も望んでる。なっ?」


少しだけ心が軽くなった気がする。


蒼空のことは心配だし、今すぐ病院に駆けつけたい。


だけど、勇翔の言う通りだよね…。


「ありがとう、勇翔」


蒼空は、私を不安にさせないために黙ってた。


一人で悩んで一人で戦った。


今の私にできることなんてほとんどない。


蒼空に笑顔を見せること。


蒼空の夢を叶える手伝いをすること。


ただそれだけしかできない。


だからこそ、それをやり抜くんだ。


蒼空のために。勇翔のために。


目尻に浮かんだ涙を消し去る目映い光が私たちを照らした─。
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