俺がお前を夢の舞台へ
「私は幸せだったよ」


付き合ってた時間は短かったし、カップルらしいことなんてほとんどしなかった。


でも、私にとってはかけがえのない時間だった。


「勝手な思い込みで私の幸せを否定したりしないで」


小さい頃から、蒼空の隣にいれることが幸せだった。


蒼空が野球をしている姿を見る時間も、地道なトレーニングをサポートする時間も。


何もかも幸せだった。


「…そっか」


短い返答だった。


でも、いろんな想いを含んだ返事だってことはよく分かった。


「…今日はね、蒼空ときちんと話そうと思って来たんだ」


ずっと逃げ続けていた。


本当は無理矢理にでも話す時間は作れたのに。


後ろめたくて、向き合うことから逃げた。


でも、今日はもう逃げない。
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